【今週の労務書】『労働時間・残業代 裁判所の判断がスグわかる本』
2018.11.03
【書評】
説明過程も書面で残す
元労働基準監督官で現在は弁護士として活躍する異色の経歴を持つ筆者が執筆した本書は、「社会保険労務士として顧問先に潜在するリスクをどのように見抜くか」などの視点でまとめられている。
たとえば固定残業代に関しては、制度導入の「同意」が口頭だけでは、訴訟に発展した際にそれの証明は困難とした。同意書を作成し署名を得るなどの対策を行っても、リスクはゼロにならないという。「労働者に対してどのように説明したか」といった同意書作成までの過程を、同意書内に示すか別立ての書類を作成して明らかにしておくべきと指南する。
多岐にわたる判例を収めるが、載せたのは要点のみ。タイトルのとおり裁判所の判断を掴みやすい一冊に仕上がっている。
(中野公義著、日本法令刊、TEL:03-6858-6967、2000円+税)
平成30年11月5日第3183号16面 掲載