予定外の作業で墜落死 防止措置講じなかった製缶板金業者を送検 熊谷労基署
2018.11.13
【送検記事】
埼玉・熊谷労働基準監督署は50歳代の男性労働者が作業中に墜落死した労働災害で、製缶板金業者と同社の工場長を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反などの疑いでさいたま地検熊谷支部に書類送検した。
労働災害は平成30年1月31日、同社の工場内で起きた。工場では集塵機の一部になる金属製の箱(高さ約2.6メートル、長辺約3.1メートル、短辺約2.1メートル)を製造していた。被災労働者が箱の上に上り、補修作業を行っていたところ、箱の端から墜落し頭を打った。労働者は救急搬送されたが翌日死亡が確認された。
箱の上部にはフランジをボルトで止めるための穴を開けていたが、穴が図面よりも小さかったため、被災労働者が箱の上に上り、穴を広げる作業に当たることになった。図面通りに成型していれば発生しない作業だった。
労働安全衛生法は高さ2メートル以上の作業床の端や開口部には囲い、手すり、覆いなどを設けなければならないと定めているが、同社はそれを怠っていた。囲いなどを設けることが著しく困難なときなどは例外的に安全帯の使用などの措置が認められるが、「作業箇所は囲いを設けることが著しく困難とは認められなかった」(同労基署)という。
なお、工場長は安全帯を付け作業をするよう指示をしていたが、災害発生時に被災労働者は安全帯を付けていなかった。作業の危険性の認識はあったものとみられる。
【平成30年10月17日送検】