在留資格追加で職域拡大/うえだ社労士・行政書士事務所 所長 上田 義博

2018.11.18 【社労士プラザ】
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うえだ社労士・行政書士事務所 所長
上田 義博 氏

 私は広島市安芸区のある駅前のビルで開業している。この辺りは7月の大雨でかなりの被害を受け、私の事務所が入居しているビルも1階が胸の辺りまで浸水してしまった。

 交通網は山陽高速が大規模な土砂流入で、国道2号線が数カ所の崩落で通行止め。山陽本線は非常に多くの地点で土砂の流入や、法面の崩落があり運転見合せとなった。ちなみに、眼前の駅までの開通に約40日もかかってしまった。

 豪雨禍から2週間程度は車での異動に頼るほかなく、連日の大渋滞の中、改めて平常は機能して当たり前と考えている交通インフラのありがたさが身にしみた次第である。

 被災当初の発表では、高速も国道も山陽本線も復旧までに相当の日数が必要と発表されていた。しかし、その後の復旧のスピードには目を見張るものがあり、建設会社の皆様に24時間フル稼働で頑張っていただいたおかげと頭が下がる思いでいっぱいである。

 ところで、私は国土交通省の委託を受けた財団法人からの受託により、特別法により入国している外国人建設就労者の就労状況について巡回指導を行っている。当初から2年近くで、巡回した建設会社の数は中四国などで100社近くに上る。

 これまで訪問した中小建設会社の経営者の方々から押し並べて耳にすることは、日本人の若年層は建設業界に来たがらない上に定着率もすごく低い、もはや外国人建設就労者や技能実習生なしでは事業が成り立たないということである。

 このような話を聞く度に、日本はこれからどうなるのだろうと暗澹たる気分になっていたところに今回の豪雨禍である。この先インフラなどの老朽化が進展していき、地震や豪雨などで破壊された場合にいったい誰が修繕・再生するのか、技術・技能の伝承はどうするのかなど、より一層暗い気持ちを強くすることになったのである。

 さて、2019年4月には入国管理局が入国管理庁に昇格し、農業・介護・建設・宿泊・造船などの業種に対し、「特定技能」という滞在資格での5年間の外国人の就労滞在が可能になることが閣議決定されており、25年には50万人超を受け入れるとしている。この制度によって社会保険労務士も行政書士も職域は確実に拡大し、私自身、仕事の増加を期待している。その反面、超少子高齢化で仕方がないとはいえ、日本はこのまま「3K労働」を外国人に託す道を進んでも良いのかと重苦しい気分にもなってくるのである。

うえだ社労士・行政書士事務所 所長 上田 義博【広島】

【公式webサイトはこちら】
https://www.ueda-yo-sr.jp/

平成30年11月19日第3185号10面 掲載
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