休業補償給付
治ゆに50年って…
ハハハ、ナマケモノも賞賛してるよ
解 説
入社3日目の事故ということですが、業務上災害に該当すれば、労災保険給付は支給されます。休業開始から3日目までは労基法に基づく休業補償の支払いが必要になり、労災保険法の休業補償給付は、業務上の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給されます。
療養の開始後1年6カ月を経過した日において、傷病が治っておらず、厚生労働省令で定める傷病等級に該当する場合、休業補償給付から傷病補償年金に切り替わります。
傷病補償年金に切り替わるかどうかは、その後の雇用に大きな影響を及ぼします。労災保険法には、療養の開始後3年を経過した日において、傷病補償年金を受けているような場合には、打切補償を支払ったものとみなすという規定(19条)があります。
業務上の負傷、疾病による休業期間およびその後30日間は解雇できませんが(労基法19条)、打切補償(平均賃金の1200日分)を支払った場合、解雇制限は解除されます。裁判でも、打切補償を支払った解雇が有効となり得るとした例があります(専修大学事件、最二小判平27・6・8)。
以上は、あくまで会社が解雇する場合の話しです。自ら退職する場合についてはとくに制限はありません。
なお、8年間受給した休業補償給付を労基署に打ち切られ処分取消を求めた事案(国・池袋労基署長事件、東京地判平26・10・20本紙3025号)では、治ゆの目安は2年として、治療効果が期待できない状態として請求を棄却しました。治ゆということになれば、その後の解雇は可能と解されます(昭25・4・21基収1133号)。マンガでは、2年後の時点で「徐々に治ゆに向かっている」というのですから何ともいえませんが…。
※マンガは労働新聞平成25年8月19日第2933号12面「人事学望見 第923回 医療効果で判断する治癒 療養を継続しても症状固定状態」をヒントに描いたものです。詳細は労働新聞読者専用サイトにてご覧ください。