技能実習生6人に約1000万円の賃金不払い 縫製会社を送検 会社は支払わずに倒産 関労基署
岐阜・関労働基準監督署は中国人技能実習生6人に約1000万円の賃金を支払わなかったとして、婦人服の縫製業者と同社の代表取締役を最低賃金法第4条(最低賃金の効力)違反などの疑いで岐阜地検に書類送検した。違法な時間外・休日労働もさせている。
代表取締役は平成29年9月~30年6月までの間、中国人技能実習生6人に総額約1000万円の賃金を所定支払期日に支払わなかった。今年2月に実習生から「昨年7月以降、賃金が一切支払われていない」と申告があり、同労基署が臨検に入ったところ、不払いが認められた。同労基署は是正勧告を行い、同社は実習生が帰国するまでに分割で支払うとする「支払い計画書」を策定した。しかし、同社は約200万円支払った時点で倒産手続きに入り、約800万円が不払いのまま5月17日に事業を停止した。
同社内では多額の使途不明金が認められた。同労基署は不払いの理由はこの使途不明金にあるとみている。調べに対し代表取締役は「個人的な支出に遣った」と認めたが、具体的に何に遣ったのかは黙秘しているという。
なお、中国人実習生6人は未払い賃金立て替え払い制度による救済が図られる予定。
10カ月で休みは正月だけ
違法な時間外・休日労働もさせていた。36協定の届出はあったが、過半数代表者を適正に選出しておらず、有効でなかった。代表取締役は有効な36協定がないまま、29年7月~30年5月までの間、中国人技能実習生6人に時間外労働と休日労働をさせた。時間外労働はほぼ毎日4~5時間、休みは正月のみで、1カ月当たりの時間外・休日労働数の平均は178時間に上る。11カ月に渡り過労死ラインの2倍以上の時間外・休日労働をさせていたことになる。
長時間労働に加え、賃金が支払われなかったことから、中国人実習生がストライキを起こしたこともあったという。ストは3回行われ、監理団体が間に入り仲裁をした。監理団体も賃金不払い、長時間労働の実態を知っていたものとみられる。
【平成30年11月9日送検】