フレックス休日への取り組みについて/弁護士 中野 厚徳

2016.06.19 【弁護士による労務エッセー】
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3.実際の休日設定のルール

 X社でのルール設定を簡単に説明すると、まず、フレックス休日(デイ)の適用対象社員の年間休日数をたとえば110日として会社が設定し、そのうち数日を会社が全社員の共通休日として設定します。たとえば年末年始の12月31日から1月5日までの6日は会社が休日として設定し、残りの104日は社員に自分自身で設定してもらうことになります。ここで会社が設定する6日間の休日がコアタイムならぬコア休日ということになります。コア休日を多くすればするほど社員の休日設定の裁量は狭まりますが、反対に会社は勤務日をコントロールしやすくなります。

 X社では12か月の間に社員は104日の休日を配分していくわけですが、会社はその配分が労働基準の定める休日(第35条)や法定労働時間(第32条第1項)に反していない限りは原則として承認するという定めを就業規則に置くことにしています。また、労働基準法に反する場合は社員に修正を指示することも併せて定めています。

 さて、具体的に労働基準法に反しないためには、労働基準法の定める休日を取得しつつ、1週間の所定労働時間が40時間を超過しないように1週間に少なくとも2日の休日を設定しなければなりません。1年は52週と1日(うるう年は2日)なので、コア休日が無い場合でも休日数が104日あれば、毎週2日の休日を設定することができます。なお、毎週1日以上あるいは4週間で4日以上の休日取得の要件や1週間の所定労働時間を確認するため、起算日についても就業規則で明記しておく必要がありますが、X社は毎年1月4日、5日が休日なので1月4日を起算日として、年間の休日の起算日の週には必ず休日が2日配置される設定となります。また、52週目には12月31日と1月1日がうるう年でも必ず休日として入ることになります。

X社では、社員に翌月の休日を前月の一定の時期までに申告させ、それが法律の要件に合致しているかを確認して、合致してれば承認し、不適法であればそれを指摘して再提出を促すことにしています。そのほかにも、X社では、万一、社員が事前に休日を申告しなかった場合の扱いや、1年の終わりまでの全ての1週間に2日の休日を配置できなくならないように、過剰ペースで休日が取得されないようなチェックも必要だと考えています。

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