「働きやすさ」で人材確保/港国際社会保険労務士事務所 代表 近藤 由香
「人手不足により閉店します。今までありがとうございました」
東京都渋谷区にある焼立てパンが売りのパン屋兼喫茶店の前で、先日実際に目にした立て看板。店構えもこだわりがあり、立ち寄るお客様も多かったためかなりショックを受けた。最近はこのように、人手不足により閉店、倒産を余儀なくされる「人手不足倒産」が目につくにようになった。
会社が倒産するというと、「過少資本」「放漫経営」「設備投資過大」などの原因が主流だったが、最近はどこの業種に聞いても人手不足で悩む企業が多く、その中で求人を出しても人が集まらず、現場を運営することができず、事業を畳まざるを得ない、そのような企業が散見されるようになった。これが人手不足倒産である。
帝国データバンクによると、人手不足倒産は「2018年上半期では70件、半期ベースでは最多」となり、業種では「サービス業が最多」、都道府県別では「東京都が突出している」とのこと。
このように「求人を出しても人が集まらない」「人手不足が深刻だ」という悩みはどの業種でも共通している。どんなに良いサービス、良い商品を提供していたとしても、それを売ったり提供したりする人材(人財)がいなければ、いくら黒字であっても事業を継続していくことができない、そのような時代がすでに始まっているのである。
では、採用でも選ばれ、スタッフが定着する企業とはどのような企業なのだろうか。つまり人手不足倒産に最も縁遠い企業とは何か、ということだ。それは次の2つの側面で充実した施策を行うことができる企業である。
①「働きやすい」制度、風土、環境を作っている企業
②「働きやすい」制度、風土、環境があると採用時や現在のスタッフにアピールをしている企業
つまり、「働きやすい」制度、風土、環境を実際に作り、それを効果的に社外と社内に広報ができる企業である。たとえば、東京のとある運送業ではこれらの施策を実施して採用活動をしたところ、1カ月に120人もの応募があり、嬉しい悲鳴を上げている企業もある。
今は働き方改革が叫ばれ、具体的に制度を整えていくことが必要な時期である。
採用や定着という意味でも「働きやすい」雇用環境、制度、風土を整えていくことが採用や定着の面でも重要だと痛感している。
港国際社会保険労務士事務所 代表 近藤 由香【東京】
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