温泉のタンク清掃中に3人が硫化水素ガス中毒に 清掃業者を送検 大田原労基署
2019.02.05
【送検記事】
栃木・大田原労働基準監督署は、温泉の貯湯槽の清掃中に労働者3人が硫化ガス中毒になった労働災害で、清掃業者と同社の作業指揮者を労働安全衛生法第22条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで宇都宮地検大田原支部に書類送検した。
同社は建物のメンテナンス・清掃業を営んでいる。労働災害は平成30年4月16日に、同県那須郡那須町の温泉宿泊施設で起きた。同社は施設内の貯湯槽の清掃を請け負っており、災害当日はタンクに溜まった湯の花を、バキュームを使って吸い出す作業をしていた。
作業指揮者が深さ約4メートルの貯湯槽に入ったところ、硫化水素ガス中毒になり意識を失った。作業指揮者を助けようとして貯湯槽に入った労働者も意識を失い、タンクの上部から送風機で風を送り込む作業をしていた労働者は気分を悪くした。3人の労働者は救急隊に救助されたが、療養のために3~10日の休業をしている。
労働安全衛生法はガスによる健康障害を防止するため、事業者に必要な措置を講じることを義務付けているが、作業指揮者は貯湯槽内を十分に換気することなく作業を行った。同労基署は「送風機にダクトを付け、貯湯槽内から風を送り込み、ガスをすべて排出する必要があった」と話している。
【平成31年1月10日送検】