【主張】外国人の受入へ準備急げ
政府は、改正出入国管理法の4月施行を前に、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」をまとめた。法改正自体は少々急ぎ過ぎの感があったが、総合的対応策は日本人との共生や生活者としての外国人を援助するきめ細かな具体策を提起しており評価できる。とくに懸念されている不法滞在防止や労働環境改善に向けた対策にも力を割いた。並行して取締り機関の態勢強化を急ぎ、外国人材の受入れ開始が社会の大きな負担とならないよう確実な指導・監督の実施に最大限の勢力を傾けてもらいたい。
現下の人手不足や急激な人口減少に対処するため、外国人材を徐々に受け入れざるを得ない状況にあることは否定できない。しかし、外国人材を受け入れた結果、社会不安が生じては困る。外国人材の受入れは、将来の国造りのあり方にもかかわる重大問題であることを改めて指摘したい。
今回まとめた総合的対応策は、外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図ることにより日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会の実現をめざすものである。地域社会との共存や医療・福祉サービスの整備、災害発生時の支援充実など多岐にわたる具体的対策を示しており、充実した内容といえよう。
最も気になる在留管理や労働環境の整備も具体的で分かりやすい。外国人の在留状況・就労状況等を正確かつ確実に把握し、的確な在留管理を行うことがこれまで以上に重要になるため、法務省が把握する外国人に関する情報と厚生労働省が把握する外国人雇用状況届出情報を突合し、仮に突合できない場合は両省間で情報共有して指導につなげるという。増加が懸念される外国人材の労災に関しては、外国語による安全衛生教材や事業主向けの教材の開発を進めていくとした。
外国人材などに対応するため、100人以上の労働基準監督官を増員するほか、相談体制の充実に向けた予算、人員の大幅増強も内定済みで、足下も固まりつつある。どのような問題が生起するか受け入れてみないと分からない不透明さはあるが、できる限りの準備をしてもらいたい。