多様な働き方を提案/社会保険労務士法人 松尾事務所 代表社員 松尾 郁也
「走りながら考えろ」と、先輩社会保険労務士に背中を押していただき、62歳で開業して3年目となる。
私は、専門商社を定年退職後に試験に合格し、社会保険労務士の実務を学ぶため開業セミナーに参加した。そこで教えていただいた講師、同期の仲間たちが私の社会保険労務士としての仕事の原点である。
前職が営業で人事労務の経験がまったくなかったので、なんでも相談できる仲間とのネットワークがあることが大変役立っている。
私たち社会保険労務士の仕事は、1・2号の手続き業務からパワハラ・セクハラ問題、退職トラブルなどと、取り扱う分野が多く、とても一人では太刀打ちできない。
顧問先の社長からは、様ざまな質問が飛んでくる。その時、開業セミナーで出会った仲間とのネットワークが生きてくるのである。それぞれの専門分野に精通した仲間に教えを乞うことで、問題解決に役立てている。
その仲間たちとは年4回の勉強会や飲み会を通して、交流を深めている。
さて、少子高齢化が進み、一億総活躍社会が叫ばれている今の時代には、高齢者雇用の拡大こそ最も有効な労働力確保の手段だと私は思っている。
私の周りに目を向けると、「定年退職後は、フルタイムでは働きたくない」、「週3日か4日ぐらいの短時間であれば社会とつながりを保ちたい」、「自分が健康なうちは、少しでも稼いで老後に備えたい」などと考えている人たちがたくさんいる。
しかし、与えられる仕事が自分のキャリアやプライドを無視したような内容なら受け入れたくないと考えるケースが少なくない。やりがいのある仕事でなければ、働く意味がなく、働かなくても生活はできるので、最終的に「働かない」という選択をするわけだ。
一方で、私たちの顧問先である中小企業の社長の多くは、慢性的な人手不足に頭を悩ませている。
そのため、豊富な人生経験と高キャリアを持つ人材を探している。さらに、人材育成の担当者や、業務改善マニュアルを作成できる人材も渇望している。
今や、短時間正社員制度など多様な働き方が求められる時代となっている。このような時代だからこそ、高齢者と中小企業の需要と供給をつなぐ仕組みづくりが必要ではないか。
短時間正社員制度をはじめとした多様な働き方について理解し、中小企業に提案できる社会保険労務士として、これからも走りながら考えていきたい。
社会保険労務士法人 松尾事務所 代表社員 松尾 郁也【東京】
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