【主張】胸張れる若者の雇用改善

2019.03.14 【主張】
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 近年の雇用情勢改善は目を見張るものがあるが、なかでも注目すべきは若年層を取り巻く環境好転である。十数年前、10%を超えることがあった15~24歳の失業率が、最近では3%台前半に落ち着いている。若者が将来に希望を持てない社会は健全とはいえない。デフレ傾向からなかなか脱却できない厳しい状況にあるものの、若者に光明を届けられたことは胸を張れる。ただ、就職氷河期を経験した者を含むフリーター数は未だ150万人を超えている。政府は最後まで集中的就職支援を続けてもらいたい。

 日銀による異次元金融緩和と厚生労働省の各種取組みの結果、雇用情勢が大きく改善した。高齢者や女性の就職者数が増加したことは、わが国の社会経済を支える柱となろう。さらに評価すべきは、若者を取り巻く雇用環境の変化である。高齢者や女性の働き手拡大も大切だが、それにも増して若者が明るい将来像を描ける社会にすることが極めて重要といえる。

 一般的に若者の失業率は全年齢平均より高くなる傾向がある。今から十数年前の失業率をみると、全年齢平均が5%台半ばにあるとき、15~24歳は9~10%とほぼ倍だった。若者の就職難は、高齢者、中高年の失業より深刻な社会問題である。当時、将来への希望を示せなかった大人の責任は重大である。

 厚労省では、この間に若年層を対象とした雇用支援、環境改善に大きな力を投入してきた。若者雇用促進法に基づく優良企業認定制度を創設したほか、地域限定正社員制度の積極的拡大、新卒に対する強力な就職支援、地域若者サポートステーションの設置拡大、ジョブ・カード推進など多数の取組みが行われてきた。若年者対策は、マスコミにも注目されず地道な取組みといえるが、現在それが功を奏している。

 しかし、就職氷河期を経験した者を含むフリーターが、現在でも150万人以上いるとされる。前年比では減少しているものの、未だに離転職を繰り返すケースがめだつ。就職氷河期世代の正社員就職拡大を残された重要な取組み課題と位置付けて欲しい。

平成31年3月18日第3201号2面 掲載
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