時給600円で残業させた縫製業の代取を送検 外国人技能実習生5人に 岐阜労基署

2019.04.08 【送検記事】
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 岐阜労働基準監督署はミャンマー人技能実習生5人に最低賃金以上の定期賃金を支払わず、最低賃金を下回る時給で違法な時間外・休日労働をさせたとして、縫製業者の代表取締役を最低賃金法第4条(最低賃金の効力)など違反の疑いで岐阜地検に書類送検した。

 同社は外衣下着の製造・販売を営んでいる。代表取締役は平成30年1~4月末までの間、最低賃金額以上の定期賃金を支払わなかった。この間の手取り額は月6~8万円程度だった。時間外・休日労働、深夜労働に対する割増賃金の支給もしておらず、残業代の時給を1年目が600円、2年目が700円としていた。この間の不払い総額は220万円に上る。

 有効な36協定の締結・届出もなかった。同社には代表取締役と実習生しかおらず、代表取締役が実習生の1人を労働者代表に指名していた。有効な36協定がないまま、時間外・休日労働をさせており、上記の期間の時間外労働は1カ月62~180時間、休日労働は月1~3日に上った。

 違反は労働者の申告で発覚した。5人は来日直後から違法な扱いを受けており、未払い賃金の総額はさらに膨らむ見込み。同労基署は「未払い賃金立替払制度で救済を図る。立替払いの手続きを進める中で、不払いとなっている賃金の全容を解明していく」と話している。5人の実習生は30年5月末で退職し、現在は他の実習先で働いているという。

 同社は実習生の退職などの影響で30年6月末に事業を停止した。代表取締役は違反の理由について「単価が安く、法律を守っていたら事業が継続できなかった」と供述している。

 労働基準関連法令違反は、法人と実行行為者を送検するのが通常だが、本事件は実行行為者である代表取締役のみを送検している。同労基署は「同社はすでに事実上の倒産状態にあり、法人の送検を見送った」としている。

【平成31年3月18日送検】

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