労働生産性高める工夫を/社会保険労務士法人 ウィル 代表 鮫島 研吾
一億総活躍の下、働き方改革が進められている。
年次有給休暇5日付与の義務化により労働時間は短くなるが、給与はそのままなので人件費は減少しない。企業としては労働時間を短くしても売上げを落とすわけにはいかない。また、残業時間の上限規制によって残業時間が減れば、残業手当が減り人件費コストは下がるが、それ以上に売上げが落ちる。今後、同じ売上げを確保するには時間当たりの労働生産性を上げる必要があるだろう。
日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟国36カ国中20位(2017年、日本生産性本部調べ)であり、先進国では低い方である。労働生産性を上げるには、機械設備の導入もあるが、仕事そのもののやり方を変える必要がある。時代に合わせて仕事のやり方も変化させる必要があるが、昔ながらのやり方で効率の悪い仕事をやっているケースも多い。
しかし、会社のルールを変えることに対しては、経営者と労働者ともに抵抗がある。変えても同じ結果が出たり、いろいろ面倒なことになったりするのではないかといった、先がみえないことへの不安である。
こういう状況ではトップの姿勢が問われる。場合によってはトップダウンで行わないと実現が難しい。
現在の仕事のやり方に無駄がないか、他の方法はないかを現場サイドで提案して改善していく。ただし、現場サイドで改善できないことへの対応や、仕事のやり方の根本を変えるには、上層部も参加してやっていく必要がある。
顧客からの納期の短い発注など、過度の要求に応えると労働時間は伸びる。今まで日本は、顧客第一主義でお客様の要求にできる限り応えることに重きを置いてきたが、過剰な顧客第一主義は、社員の長時間労働につながっている場合が多い。
一方、ドイツは景気が非常に良く、国内総生産は世界第4位であるにもかかわらず、労働時間が短い。1時間当たりの労働生産性は、日本(5278円)を46%上回る7726円に上る。労働時間が短いのは、法律の規制が厳しいことが理由の1つであるが、加えてドイツ人の無駄を徹底的に嫌う国民性があるようである。また、ドイツの店員は接客態度が悪く、「サービス砂漠」のようだ。サービスを受けたい場合はチップを払う必要がある。
ドイツをまねる必要はないが、企業は日本ならではの気遣い、おもてなしの心を維持しながら、無駄を省き効率を上げて労働生産性を高める必要がある。人手不足もあり、まさに働き方改革を行わないと企業は生き残れない時代になった。
社会保険労務士法人 ウィル 代表 鮫島 研吾【鹿児島】
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