【主張】改正パート法まずまずの成果か
いわゆるパートタイム労働法第8条では「通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止」をうたい、強制義務としている。使用者が違反状態を放置し、これによって当該パートに損害が生じた場合は「保障責任」を求められ、かりに係争へ発展した場合は、法条文そのものが証拠となると解されるわけだ。
施行通達には、膨大な解釈が示されているが、①職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一であること、②当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結していること、③人材活用の仕組み、運用等が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一であること、と一応定義されている。法第8条第2項には「反復更新されることによって、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約が含まれるものであること」とうたわれており、その範囲は広い。
問題となる③は、わが国の人材育成を前提とする長期雇用システムにおいては差別的取扱いの禁止の適用に当たって「ある一時点において短時間労働者と通常の労働者が従事する職務が同じかどうかだけでなく、長期的な人材活用の仕組み、運用等についてもその同一性を判断する必要があるから要件の一つと定められたもの」と解説している。
厚生労働省がまとめた「平成23年パート労働者総合実態調査」(本紙1月16日号2面参照)によれば、改正パート法の施行を契機に5割が雇用改善を行ったという。これを正社員と同視されるパートの処遇でみると、一見、遅々としている。例えば、基本給は33.9%が正社員とまったく異なり、算定要素がすべて共通なのは9.4%にとどまる。賞与もまったく異なるが53.8%を占め、すべて共通は5.4%しかない。ただ、役職手当だけは共通が40.2%とトップ。これは、皮肉にみれば、役職登用が係長レベルまでというのが反映したともいえる。しかし、総体的にみれば使用者が女性活用に積極的になってきたことはうかがわれ、道なお険しながら、一定の評価はできよう。