【主張】労働者本位の条件整備を貫こう

2012.06.25 【主張】
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 厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会は、労使の対立で難航が予想されたパートタイム労働法見直し案をまとめた。一時紛糾したもののその後比較的スムーズに決着したのは、対立していた差別的取扱い禁止対象3要件のうち、①通常労働者と比べて職務内容が同じ②通常労働者と比べて長期的な人材活用の仕組み・運用が同じの2要件を残し、③無期契約要件を削除したことにより、全廃を主張していた労働者側委員が歩み寄ったためだ(本紙6月11日1面参照)。

 この3要件は、平成20年施行の改正案に登場したものだが、施行通達(雇児発第1001002号)によれば、「無期契約」には、「反復更新によって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる『期間の定めのある』労働契約が含まれるものであること」としている。これは文言上「無期契約」とうたわなくとも、有期でも民事上有効という判例の蓄積に根拠を求めたもの。いわゆる「解雇権濫用法理」(労働契約法第16条)の類推適用と判示されている(東芝柳町工場事件=昭49・7・22最一小判決で初登場して以降、多数ある)。

 「無期契約」の心理的効果は否定できないが、自動更新によって、実質「無期」が類推適用されるパートは数多あり、3要件のうち、格段にハードルは低い。労使が大人の対応を図ったということだ。

 分科会では、紛糾した問題について「有期労働契約との整合性を図りつつ、パート法の条文の枠組みをどうするかが議論の前提となる」(公益委員)としており、同省も無期契約要件の削除は、今国会に上程した労働契約法など有期労働法制の見直しが影響しているという(前記1面)。

 正社員にしても、家電業界の如く、国際競争で敗れると大量リストラに遭う可能性が現実化している。最悪の経済状況下で労働者保護法を強化した場合、雇用をためらう企業が続出することになろう。働きたくとも場所がない状況に追い込む政策があってはならないことは当然。労働者本位の条件整備がどこまで貫かれるかに期待したい。

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平成24年6月25日第2878号2面 掲載
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