【主張】年金問題解決の糸口どう探すか

2012.10.01 【主張】
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 パートタイマーに対する厚生年金・健康保険の適用拡大を行う国民年金法等の一部改正案が、今国会で成立、公布された(本紙9月10日付1面参照)。現行の適用基準である週所定労働時間30時間以上を、20時間以上に短縮して適用拡大を図ろうとするのが、そもそもの出発点だったが、大量のパートを抱える流通業労使が真っ向から反対し、紆余曲折の末の難産だった。

 07年に当時の自民党政権が示した年金一元化法案は、対象パートについて①週所定労働時間20時間以上②月額賃金額9.8万円以上③勤務期間が1年以上を対象としていたが、パート化比率が9割という外食産業を中心に猛反対され、あえなく廃案に追い込まれた。民主党政権下でも301人以上規模を対象、月収9.8万円などの案が出されたが、党内に反対論も強く、対象501人、月収7.8万円に修正された。今回成立した基準は、賃金8.8万円以上(年収106万円以上)のパートを雇用する企業規模501人以上(学生は適用除外)で、施行は16年10月。その後3年以内に検討を加え、その結果に基づき必要な見直しを講じるとしている。

 民主党は、当初300人超の企業を対象に一挙に400万人に上る社会保険適用拡大を図る「捕らぬ狸の皮算用」をしていたが、今回の対象基準は25万人と急減し、目論見は外れ、年金の前途は暗いまま。これでも日本チェーンストア協会など17の使用者団体は「撤回を求めてきたにもかかわらず業界の意見を十分聴かず、制度変更が拙速に強行されたのは極めて遺憾」とこぞって反対している。

 年金保険料は04年10月から、毎年0.354%ずつアップされ、17年には最終的に18.3%になることが決まっているが、保険料のアップだけで年金財政が維持されるわけがない。業界の猛反対をくぐり抜けても、夫の保険料によって、第3号被保険者になれるサラリーマンの妻へもメスを入れなければ不公平、喫緊に俎上に上げられよう。高齢社会のひずみで若い世代は「年金保険料の払い損」という試算もあり、問題解決の糸口はいっこうにみえない。

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平成24年10月1日第2891号2面 掲載
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