【主張】新継続雇用に明確な休業規定を
厚生労働省は、改正高年齢者雇用安定法に基づき「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」(案)を作成した。来年4月1日施行の改正法によると、継続雇用制度の導入、定年制の引上げまたは廃止により全員を65歳まで雇用確保しなければならない。前者の場合、希望者全員を対象とする厳しい措置を要求しており、現在も関心が高い(本紙10月29日1面参照)。
指針案によると、「継続雇用しないことができる」高年齢者については「心身の故障」により、業務に堪えられない者としている。具体的には、勤務状況が著しく不良で、引き続き従業員としての職責を果たし得ないなど、就業規則に定める解雇または退職事由に該当する必要がある。
「心身の故障」とは、古臭い感じがするが、憲法第78条に「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない(略)」とあり、公用語というより法律用語だ。ともあれ、心身の故障で最も危惧されるのは「うつ病(業務上を除く)」であろう。高年齢期で発症するケースが多く、再雇用時に健常体であっても、勤務を続けるうちに発症し、休業を繰り返す事態が怖い。
指針案では、継続雇用しないことができる場合について解雇や退職の規定とは別に就業規則に定めることも可能としている。正社員の就業規則では、休業期間について勤続期間に比例して定め、再発・休業を繰り返すと積み上げして、期間満了になったときは自動的に退職させる仕組みのものが多い。
継続雇用期間は、一般的には5年程度だから、休業期間もそれに比例して、最長3カ月程度とし、満了後は退職とすべきではなかろうか。正社員用の就業規則を準用するような愚行は絶対に避けよう。就業規則は、常時職場に備え付けて置かなければならないが埃まみれで放ったらかしの状態を改める機会でもある。
来年4月1日スタートの新継続雇用制度では、就業規則の制定、とりわけ「私傷病休業期間」について明確な定めをお忘れなく。