【主張】足下が不安なクーリング対応策
クーリング制度は、労働者派遣法の解釈上(法文上なし)初めて登場し、今回、改正労働契約法にも適用されることになった。派遣法では同一業務に派遣労働者を配置した場合受入期間は、初めの労働者からカウントし、続いて受け入れた労働者は、この初めの労働者の期間満了までの3年間(自由化業務の上限)が適用される。その後3カ月のクーリングを経ないで、当該同一業務に派遣労働者を受け入れることはできないがまったく理解されていない。厚生労働省では労働契約法でも同じような事態を恐れ通達で詳しい解説を示した(本紙11月26日1面参照)。
クーリングは特定商取引法では、消費者保護を、労働契約法では使用者負担の軽減策ということができよう。
労契法では、平成25年4月1日以後に開始した有期労働契約期間が通算5年を超える場合、その契約期間の初日から末日までの間に、労働者は無期契約転換の申込みができることになった。ただし、通算契約の間に「契約がない期間が6カ月以上あるときは、その空白期間前の契約期間は通算に含めない」としている。この6カ月間が同法にいうクーリング期間である。
当然、労働者側はこのクーリングに反対している。例えば、全労働省労組はこういう。
「事実上、期間の定めのない契約に転換するかどうかの判断が使用者のフリーハンドに委ねられており、有期雇用契約労働者の意向が反映される余地がほとんどない(無期雇用転換権の付与は形式上、労働者の申出を要件としているが、利用可能期間内の雇止めをしない、という使用者の判断が先行する)。つまり、有期労働者の『無権利状態』を維持したいと思う使用者は、無期雇用転換権の付与される以前に雇止めを行い、代替する労働者を雇い入れるか、新たに用意されるクーリング制度を利用すれば良いだけだ」。
派遣労働者の直接雇用申込みは権利が発生する前に雇止めを行い、その義務を免れる派遣先が多い。使用者の思惑は完全に読まれている。これまでどおり知らぬを決め込むわけにはいかないから、クーリング対応戦術を見直そう。