相談しやすい身近な存在に/社会保険労務士法人 asana 代表社員 潮田 祥子
2010年4月に個人事業主として独立して9年目を迎える。独立当初、クライアントゼロからスタートした私は、社労士として独立して事業をやり始めたことをたくさんの人に知ってもらうため、知人や異業種交流会など多くの交流の場に足を向けた。そこで1件、2件とご紹介をいただき、クライアントとの信頼関係を築いてきた。その結果、現在ではスタッフを4人雇って業務を行っている。
スタッフを雇って(=自分の財布から他人の給与を支払って)思うことは、会社を成長し続けながら労働者を雇うことがどれほど大変なことか。スタッフを雇う前にもたくさんの労務相談を受けていたが、どこか他人事だったのかもしれない、と思うことがある。それまでも経営者の立場になって相談を受けてきたつもりだったが、実際にはそうではなく、経営者の立場が分かったつもりになっていただけの未熟者であったと痛感した瞬間でもあった。
しかし、スタッフを雇ったおかげで社長の相談が他人事ではなく、より本音の部分で経営者と分かり合えるようになったのは事実で、本当にうれしいことであった。クライアントが社労士に求めていることは、最新の法改正情報や対応、労務相談に対するアドバイスなど様ざまであるとは思うが、私が一番に感じることは、「相談しやすい相手であること」だ。相談内容は、経営状況や労働者とのトラブルなど、必然的に重い内容である。あまり他人に知られたくないことや自分の醜い感情をさらけ出すことにもなる。
経営者の悩みを少しでも本音の部分で共有して解決に導くことができる存在になれるよう日々考えて行動している。それには、相談しやすく安心できる相手に選んでもらうため、クライアントの経営者や担当者が話しやすい相手がどんなタイプなのかを知ることから始める。感情的思考か、論理的思考か、経営者が私に求める「立ち位置(距離感や求められている役割)」をしっかりと見抜くことができなければならない。労務相談でも同様のことを思うが、同じ事案であっても解決方法は相手ごとにあり、1つではない。クライアントごとに立ち位置を変える必要がある。
社労士は、労働法の専門家であるが、法律や専門知識だけでなく、笑顔を絶やさず、なんでも受け止めてくれる安心感・包容力を持って「常に経営者に寄り添える社労士」こそが、労務問題が溢れている今の時代の社労士としての在り方なのだと思う。これからも、何でも相談しやすい身近な存在と感じてもらえる社労士であり続けられるよう、そしてクライアントとともに成長していきたい。
社会保険労務士法人 asana 代表社員 潮田 祥子【東京】
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