問題解決へ“行程表”作成/かなやま労務管理 社会保険労務士法人 久松 一規

2012.09.24 【社労士プラザ】
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 クライアントから相談される案件で、問題が多岐に渡っていて何から手を付けるべきか判断しがたい、というケースがある。そのような相談の際にこちらが作成するものが、「クライアントの理想像に合わせたロードマップ」である。ゴールを定め、そのゴールを達成するための手段を明確にすることで、クライアントが何をすべきかを分かりやすくすることが主眼となる。

 ロードマップを作成するための第1段階が、チェックリストを活用し、問題点を具体化させ、現状を視覚化することである。何が問題になっていて、どのような法違反が発生しているのかを確認することで、現状を正しく把握し、次の行動につなげることができる。

 第2段階としては、チェックリストから浮かび上がった各問題点に対し、クライアントの希望に合わせて理想像を設定し、ゴールを明確化することである。ゴールを明確化せずに進行した場合、後々、進行内容とクライアントの考えにずれが生じるケースや、場当たり的な対応になるケースが多い。

 第3段階は、第2段階で設定した各問題点のゴールから逆算して内容を細分化することである。細分化するうえで押さえるべき項目としては、関与する人員、必要人件費、各問題点の緊急度および解決期限の4点である。そうすることで計画の抜け落ちを防ぐことができる。

 第4段階としては、3つの段階を踏まえて作成したロードマップをクライアントの従業員に見てもらい、内容を説明したうえで、従業員の意見を基に微調整を行うことである。仮に経営者側の考えのみでロードマップを作成した場合、進行途中に労使間で認識のずれが生じるケースがあるため、実際に進行する前に従業員にロードマップを説明し、認識のずれを防ぐ。そうすれば、経営者側の本気度が従業員に伝わり、労使がともに会社の労務環境を良くしていこうという雰囲気も生まれやすい。

 ここまでの段階を踏み、ようやくロードマップが完成し、実際に進行していくことになる。このように段階を可視化することで理解度が増すとともに、何をすべきかが明確となる。ロードマップの作成に関与することで、クライアントの問題解決に助力できれば幸いである。

かなやま労務管理 社会保険労務士法人 久松 一規【愛知】

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平成24年9月24日第2890号10面 掲載
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