【主張】その先見据え人材投資を

2019.05.23 【主張】
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 経団連がさきごろ発表した採用システムに関する提言によると、今後は新卒一括採用に加え、ジョブ型雇用を念頭に置いた通年採用を含め複線的で多様な形態に「秩序をもって移行すべき」と訴えた。採用形態のベストミックスを追求した提言といえるが、これまで産業界において進められてきた採用システム改革の方向性と変わるところはない。しかし、「Society5.0」時代に求められる人材が圧倒的に不足している日本としては、今後ベストミックスへの転換を急加速しないと、未来はない。

 提言によると、「Society5.0」時代に求められる人材の能力は、数理的推論・データ分析力、論理的文章表現力、外国語コミュニケーション力、論理的思考力と規範的判断力、課題発見・解決能力、未来社会の構想・設計力などとしている。経済低迷を続け守勢に回らざるを得なかった日本は、長期にわたり人材投資を怠ってきたのが現実で致命傷となっている。

 日本としては、さらにその先の技術革新を見据えて準備を整えていかなければならない。これからは、最優先課題として躊躇せず人材投資を拡大し、遠くても数十年先には再び世界に冠たる技術立国としての地位を取り戻さなければならない。資源のない日本が成長していくための唯一の道である。

 採用形態のベストミックスは、そのための最低限の条件である。外国人を含め必要とする優秀な人材をジョブ型雇用するには、フレキシブルな通年採用を広げる必要がある。一方で、新卒一括採用と安定雇用により長期にわたる安心感を醸成し、じっくり人材育成を図る道もある。マイナス面が強調されがちな日本型雇用だが、強みとなっている面もあり簡単に放棄すべきではない。

 ただし、人事評価や賃金を含めた労働条件に不合理な格差を設けてはならない。新卒一括採用で入社した社員も通年採用の外国人も同様な評価基準で処遇しないと心は離れてしまう。採用形態のベストミックスに適応した公正で納得できる人事賃金制度の整備が前提である。

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令和元年5月27日第3210号2面 掲載
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