4トンのH鋼落下に巻き込まれ21歳男性が死亡 新東名高速延伸工事で工事業者を送検 沼津労基署
2019.06.07
【送検記事】
静岡・沼津労働基準監督署は重さ4トンのH鋼の落下に21歳の男性労働者が巻き込まれ死亡した労働災害で、工事業者と同社の現場責任者を労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置)違反の疑いで静岡地検沼津支部に書類送検した。
同社は鋼矢板やH鋼の打抜きや、桟橋・構台の工事を営んでいる。労働災害は平成30年11月29日に、静岡県駿東郡小山町の新東名高速道路の延伸工事現場で起きた。現場では仮設構台の設置のため、H鋼を仮置きする作業を行っていた。
移動式クレーンでH鋼を吊り移動させていたが、吊りクランプが外れH鋼が落下した。地面に落ちたH鋼はそのまま斜面を滑り落ち、荷の誘導をしていた労働者に激突、労働者は切り株とH鋼に挟まれ死亡した。H鋼の長さは25メートル、重さは4トンだった。2点吊りでH鋼を移動させていたが、クランプは2点とも外れていたという。落下の原因について、同労基署は「クランプに4トンの荷を吊るだけの能力がなかった」と話している。
労働安全衛生法は、移動式クレーンを使い作業をするとき、労働者の危険を防止するため、荷の重量やクレーンの能力を考慮し、あらかじめ作業方法などを定めた計画を策定しなければならないとしているが、同社は仮置き作業における計画を一切策定していなかった。適法な計画を策定していれば防げた災害だったとみられる。
【令和元年5月17日送検】