面接工夫しミスマッチ防止/荒井人事労務事務所 所長 荒井 孝育
「採用してみたら面接の時と結構違うんだよ」。「この仕事ができるっていっていたから採用したのに、全然できなくてどうしたものか」といった採用ミスマッチの相談が度々発生する。
このご時世、スマホが普及し情報が取りやすくなったことで、労働法規が世の中に急速に浸透してきた。こうした背景もあり、合理的な理由もなく従業員との雇用契約を解除することは、経済的にも社会的にも会社にとって大きなリスクを伴う。
人材不足をなんとか解消したいとの話は耳にするが、「とりあえず人を採用しよう」というのはかなり危ないと考える。採用時の面接で聞くべきことを聞かずに「なんとなく大丈夫そうだ」といった感覚で採用してしまうと、冒頭のような話が出てきて労使双方にとって気持ち良く仕事ができなくなってしまう。
よく聞く代表的な失敗例は、「結構できそうだった」という雰囲気で採用してしまうケースで、流れで表現すると、結構できそう→期待値高い給与→実際とのギャップ→不満・怒り→トラブル・ハラスメント、といった具合だ。トラブル・ハラスメントが発生してしまえば、当然のごとく働く環境が悪化し、働き方改革どころではなくなってしまう。
採用時のミスマッチを減らすにはどうするか? 私は面接方法を若干変えることで解決できると考える。それは、面接時の質問方法を具体的にしていくことだ。当事務所でも実施している能力面を測定する方法の例を紹介したい。
入社したら達成してもらいたい仕事内容・作業内容を具体的に書き出した「面接シート」を用意すること。内容としては、こちらが求める業務を面接シートに具体的に記載しておくことで、面接時に具体的な質問ができるし、シートをチェック表にして求職者に記載してもらう使い方も可能だ。私の事務所では、約80項目の手続きや労務相談項目などを記載しており、そのシートにチェックを入れてもらっている。これを基に面接時に内容を掘り下げていくことで、本当の習熟度が現れてくる。
もう一つの面接方法は、過去に対応した事案や作業などを基にした例題を2つ3つ用意しておくことだ。モノづくりの会社であれば、製品の完成形をみせたりする。この具体的な例題に対する回答内容から、求職者の業務レベルや対応能力などがかなり判断できる。
やってもらいたい仕事内容は、「社長の頭の中にある」ことが多いかもしれない。それを是非「見える化」していき、採用後のミスマッチをなくすことで労使ともどもの大発展につなげてほしい。
荒井人事労務事務所 所長 荒井 孝育【東京】
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