【安全衛生・お薦めの一冊】『安全・健康・環境におけるトップの覚悟と役割 リスクベースで取り組む安全操業』

2019.06.25 【書評】
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リスクベースの思考法を

 労働安全衛生マネジメントシステムを法令に取り込んで以降、わずかながら事故・災害防止の後追い行政に改善が見られる日本。しかし、実際に事故や災害が起きてからでないと法令などの見直しに着手できない構造は旧態依然のままである。

 いざ災害が起きれば大災害につながりかねない石油・化学プラントの保安分野で長年働いてきた2人が本書の執筆陣で、片や“リスクベース”のアプローチが根付く米国系企業で30年間も働いてきた経験があるためその主張は説得的だ。

 なかでも、2005年に米国テキサス州の製油所で起きた史上最悪規模の爆発事例をもとに展開する“3つのバリア”論は必見で、日本人が陥りがちな「法令順守」の上を行く考え方と企業トップの役割がいかに重要かが手に取るように分かる。

 昨年の全国産業安全衛生大会での講演録であり、行きたかったのに足を運べなかった方々はご一読あれ。

(武藤潤・渡辺哲共著、中央労働災害防止協会刊、TEL:03-3452-6209、A5判、64ページ、500円+税)

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2019年7月1日第2333号 掲載
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