トラック業4分の3で法令違反――近畿2府4県労働局
滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の近畿地方2府4県の労働局は今年9月、貨物自動車運送事業場に対して一斉監督を実施した。脳・心疾患での労災申請件数、および休業4日以上の労働災害の発生数が他業種に比べて多いことが一斉監督実施の背景にある。立ち入った事業場の4分の3で労働基準法関係の違反があった。
監督した159事業場のうち、労働関係法令上の違反があった事業場は122件=76・7%に達した。違反項目は多いものから、労働時間(80件=50・3%)、労働条件の明示(34件=21・4%)、時間外労働に対する割増賃金不払い(24件=15・1%)の順となった。このうち労働時間の違反では、36協定を締結せずに違法な時間外労働をさせたり、36協定の限度を超えて労働させていたケースがめだつ。
改善基準告示では、1日の拘束時間の限度を超過する最大拘束時間違反が59件=37・1%と最も多かった。1カ月の拘束時間の限度を超過する総拘束時間(39件)、運転開始後4時間以内に30分以上の休憩を取らせていないなどの連続運転時間(31件)がそれぞれ2割前後で続く。
一斉監督は昨年に続き2度目。一部項目で違反率の低下はみられたものの、大阪労働局は「全体的には横ばい」とみている。長時間労働および荷役作業中の労災のどちらもトラック事業者だけでの解決は困難で、「荷主の協力なしには改善し得ない」と指摘した。今後近畿運輸局と合同で、荷主団体へ長時間労働抑制と労災防止に向けた要請文を発出する予定だ。