【今週の労務書】『世界基準の「部下の育て方」』
2019.07.20
【書評】
まず上司が「学ぶ人」に
著者は米国企業のGEに在籍し、同社のリーダー育成機関において日本人で唯一研修講師を任された経験を持つ。GEは人材育成の分野においては世界でも最先端を行く企業として知られており、本書からその手法と根底にある考え方が理解できる。
日本企業の管理職などが見落としがちなことの一つに、「上司自身が学ぶ姿勢を忘れないこと」を挙げている。上司は部下に何かを教える前に、「部下から学ぶ姿勢」を持つべきであるとしているが、上司が仕事を進めるうえで部下の思いを傾聴する姿勢は、エンゲージメント醸成につながり得ると考え合わせれば、納得しやすいかもしれない。
タイトルは「部下の育て方」であるが、実は本書の中身は「上司の育て方」でもある、ともいえそうである。
(田口力著、KADOKAWA刊、TEL:0570-002-301、1400円+税)
令和元年7月22日第3218号16面 掲載