【人材ビジネス交差点】派遣社員も育てる時代に/㈱ラプラタ産業 専務取締役 堀江 健一
弊社は、平成6年度から静岡県掛川市を拠点に人材派遣業を展開し、外国人(南米系日系人)の方にも多く働いていただいている。ものづくり大国の日本には、多くの外国人が働きにきている。その中でも南米系日系人は非常に多いが、リーマン・ショック、東日本大震災の影響などで7万人以上が日本を離れてしまった。
弊社も少なからずその影響を受け、長く雇用していた南米系日系人の方々が帰国してしまい、取引先企業の生産が再開する時には新しい人材を投入する形になった。そこで「教育・育成」の重要性を再確認した。
日本の製造業は、「ものづくり」において次々と新しい技術を身につけ進化を遂げてきた。日本の技術者の技術力は世界的にみても素晴らしく、まさに匠という言葉そのものである。その匠の技を持った技術者が自分の技を惜しみなく次の世代に継承していく、これが「伝統」だ。この伝統によって今の日本の製造業は成り立っていると思う。
そして、匠の技は日本人の間だけでなく外国人の間でも継承されてきた。祖国を離れ、生活費も抑え、いわゆる3Kの仕事でも黙々とこなし、教わる技を自分のものにした。「出稼ぎ」に来ていたのでハングリー精神がかなり高かった。しかし今の南米系日系人は、生まれも育ちも日本という人が増えてきている。ゆとり教育のせいかハングリー精神のハの字もみられない人が増えたように感じる。こういう人を取引先企業の工場に送り出しても長続きはしない。遅刻・欠勤が多かったり、すぐに退職してしまったりする。これは日本人にも当てはまる。
取引先企業が即戦力を求めるなか、弊社では、これからは即戦力を探すのではなく育てる時代と考え、派遣社員に様ざまな教育を行っている。一般教育として日本の文化、礼儀、礼節、仕事に対する取組み方・考え方。そのほか、監督者訓練となる各種TWI教育を実施し、会社に訓練室を作り技術面の指導も始めた。多少だが最近では成果もみえてきた。
海外に移行しがちな製造業だが、品質は「MADE IN JAPAN」が一番である。匠の技を持った派遣社員を送り出すため、これからも日々精進していく。
筆者:㈱ラプラタ産業 専務取締役 堀江 健一