サイロ清掃中の労災で送検 13トンのとうもろこし粉に埋められ労働者が窒息死 仙台労基署
宮城・仙台労働基準監督署(足立愼司署長)は、サイロ(飼料の貯蔵庫)の清掃作業中にとうもろこし粉が崩落し、労働者1人が埋められ窒息死した労働災害で、倉庫業者と同社の施設管理部長を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで仙台地検に書類送検した。
労働災害は平成29年9月27日に同社の敷地内で起きた。同社の複数人の労働者が、高さ42メートル、直径9.5メートルのサイロ内でとうもろこし粉を掻き落とす清掃作業をしていたところ、20歳代の男性労働者1人が足を滑らせサイロ底部に転落した。
サイロは漏斗状になっており、底部には直径34センチの開口部があった。開口部に臀部がはまり込み、動けなくなったところ、サイロの内壁に付着したとうもろこし粉が崩落を起こし、労働者が埋められた(図)。労働者は救急搬送されたが同日死亡が確認された。死因は窒息死だった。
サイロ内には13トンのとうもろこし粉が残されていた。清掃作業を始めた頃からパラパラと粉が落ちてきており、不安定な状態だったという。労働者が転落した際の衝撃が崩落の引き金になった可能性もある。
労働安全衛生法は、サイロの内部で労働者が埋没する危険性のある場所で作業をさせてはならないと定めている。やむを得ず作業をさせる場合は、生き埋めを防止するため、労働者に墜落制止用器具を付け、サイロの上部から吊るなどの防止措置を講じなければならない。しかし、同社はサイロ脇から労働者を入れ、サイロの斜面部分に立たせて清掃をさせていたという。
同労基署によると、サイロ内の清掃は危険性が高く、専門性が求められる作業のため、専門業者に依頼するのが一般的だという。しかし、同社は専門業者に発注せず、自社の労働者に作業をさせていた。
【令和元年7月17日送検】