強み生かし外国人雇用支援/神保社会保険労務士事務所 代表 神保 裕
昨年後半より国会で外国人雇用に関する議論が行われ、今年4月から「特定技能」という新たな在留資格が創設された。
厚生労働省が毎年発表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、2018年10月時点で外国人労働者の総数は約146万人となっている。これは前年比約14%の伸びで、特定技能の創設も追い風となり今後とも高い伸びが予想されている。
従来、外国人雇用の約20%を占め技術移転を主目的としていた在留資格「技能実習」と異なり、人手不足解消を前面に打ち出した特定技能が創設されたことは、日本の外国人雇用政策にとって大きな転換であることは間違いない。
私は、5年ほど前から外国人技能実習制度に携わってきた。私が接している外国人技能実習生、および外国人技能実習生を雇用している企業ともに、今回の法改正を概ね前向きに捉えている。つまり、多くの企業は「より外国人を雇用しやすくなったので、特定技能を活用してさらに外国人雇用を拡大したい」と考え、多くの外国人技能実習生は「日本で長く働けるようになったので、いろいろな可能性を追求したい」と考えている。
一方、これまで外国人を雇用していない企業からは、以下のような質問を受けることが多い。
・外国人を雇用して失踪などの問題は起きないか(マスコミ報道を踏まえた疑問)。
・外国人を雇用した場合、どれくらいの費用(付加的な支出)が必要か。
・外国人を雇用するためには、どのような官庁、機関、団体に相談すれば良いか。
これらの問いに答えるための情報はインターネット、書籍類、セミナーへの参加などである程度は入手可能であるが、最も深く理解が進むのは実務で具体的な業務を行うことだと思う。
最後に、外国人雇用に関する社労士(あるいは労務管理の専門家)の業務拡大の方向性について私見を述べたい。私は、社労士自身の特徴を生かしたより専門的な業務展開が有望だと考えている。
たとえば安全衛生に強い社労士は「外国人の労災事故防止」、公的、私的な機関で相談業務を行っている社労士は「外国人相手の労働相談」、行政書士資格を有している社労士は「在留許可申請と労務管理をパッケージにした顧問業務」、年金に強い社労士は「外国人の年金相談(脱退一時金など)」、講師が得意な社労士は「外国人雇用促進セミナー」などが考えられる。
今後とも個人的な研鑽に加え、社労士間での情報共有をより活発に行って、さらに顧客満足度を上げていきたい。
神保社会保険労務士事務所 代表 神保 裕【千葉】
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