【今週の労務書】『キャリア開発論』
2016.10.22
【書評】
制約条件別にあり方探る
ダイバーシティ経営を「企業組織が存続し発展するための1つの解」とみなす著者は、これからのキャリア開発は自律性と多様性を軸に考えていかなければならない、とする。
長期雇用を背景とした組織主導型の限界を論じたうえ、育児・介護期や勤務地限定、再就職者等の制約条件別に課題を浮き彫りにしていく。
たとえば短時間勤務の課題として、管理職が任せる業務には共通点(短納期でない、職場外との調整・交渉が少ない等)があると指摘。
クレーム対応をはじめとして余計な仕事は避けられるが、仕事の本質に触れる経験が減り、キャリア形成に影響を及ぼすと懸念を示す。
実証データに基づく問題提起は、限定正社員等への支援策立案の参考になる。
(武石恵美子著、中央経済社刊、TEL:03-3293-3381、本体2500円+税)
平成28年10月17日第3084号16面 掲載