カラ出張による解雇
使い方を間違えさえしなければ、すごい機械ね。
これだけの機械を作れるなら、サイドビジネスとかじゃなくて
本業でやれよ。
解 説
マンガでは、カラ出張による解雇がテーマになっています。
カラ出張を繰り返して不正に金銭を詐取したことを理由に行われた懲戒解雇と退職金の不支給処分の効力を争ったものとして、三菱電機事件(神戸地裁尼崎支判平20・2・28)があります。
判決では、懲戒解雇処分の無効と退職金5割の支給を求めた労働者側の請求を棄却し、一方で不正に受領した金銭の不当利得返還を求めた会社側の反訴請求等を認容しました。
平成20年の3月の労働契約法施行前の事案ですが、本件懲戒解雇処分において相当性を欠く事情は認められず、本件懲戒解雇処分が解雇権の濫用に当たるとは認められない、としています。
会社として懲戒処分(懲戒解雇など)を課すためには、就業規則の根拠規定が必要になります(労基法89条)。
たとえば、不当にその地位を利用して私利をはかったとき、刑罰に触れる行為があって社員としての対面を著しく汚したとき、そして、包括的な規定として、その他、前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき、などいくつかの規定に該当するとして懲戒解雇することが考えられます。
あとは、懲戒に係る労働者の行為の性質および態様その他の事情に照らして(労働契約法15条)、判断する必要があるでしょう。
※マンガは労働新聞平成24年5月7日第2871号12面「人事学望見 第862回 懲戒処分と事実関係把握 調査期間の自宅待機は業務命令」をヒントに描いたものです。詳細は労働新聞読者専用サイトにてご覧ください。