雪下ろし作業中に労働者が墜落死 安全帯付けずに作業させたホテルを送検 旭川労基署
北海道・旭川労働基準監督署は雪下ろし作業中に労働者が屋根から墜落死した労働災害で、宿泊施設運営業者と同社の支配人を、労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで旭川地検に書類送検した。
同社は5つの宿泊施設を展開している。労働災害は平成31年3月5日に、富良野市内のホテルで発生した。67歳の男性労働者が、高さ7メートルの同ホテルの玄関の屋根の上で雪下ろし作業をしていたところ、誤って墜落し死亡した。労働者はフルハーネス型の墜落制止用器具を着用していなかった。同ホテルにはフルハーネス型の墜落制止用器具も胴ベルト型の安全帯も用意もなく、以前から使用させずに作業をさせていたという。
労働安全衛生法は高さが2メートル以上ある作業床の端で労働者に作業をさせる場合、囲いや手すりなどを設けなければならないと定めている。ただし、囲いなどを設けるのが著しく困難な場合は、墜落制止用器具の使用が認められる。同労基署によると、雪下ろしでは囲みや手すりを設けると作業に支障が出るため、基本的に囲いなどを設けるのが著しく困難な場合に該当するという。
墜落制止用器具は今年2月1日に施行した改正法により、フルハーネス型が原則となっている。高さが6.75メートルを超える場所ではフルハーネス型を使用させなければならず、2~6.75メートルの場所ではフルハーネス型か一本つり胴ベルト型を併用させなければならない。
改正法の施行により、冬季に雪下ろし作業のある事業場では、フルハーネス型の墜落制止用器具を用意しなければならなくなった。また、屋根には雪下ろし作業に備え、安全帯をかけるための親綱をあらかじめ張っておくなどの措置も必要となる。
【令和元年8月20日送検】