「三方良し」の精神で/社会保険労務士 大澤事務所 所長 大澤 朝子
さいたま市で社労士事務所を開業して26年になる。
地縁なし、顧客なしのゼロからの出発で、飛び込み訪問やDM発送で営業活動をする傍ら、社労士受験講座の講師や執筆などの「副業」で、なんとか事務所経営を維持してきた。
現在は、幹線道路沿いに事務所を構え、縁あって当所に業務を任せてくれる大切な顧客のために、日々手続き業務を中心に事業を行っている。
何と平凡な社労士事務所だろうか。しかし、私はこれで良いと思っている。社労士業の役割は、近江商人の経営理念に学べば、「売り手良し。買い手良し。世間良し」の「三方良し」ではないかと思っている。コストや効率を優先するあまり個々の利益を軽んじる風潮には与(くみ)しない方針で務めてきた。
健康保険・厚生年金保険資格取得届時においては、被保険者の年金記録の整備がポイントの一つだ。もしも被保険者が2つ以上の年金番号を持っていれば、必ず年金手帳を年金事務所に持参し年金番号が未統合になっていないかを確認する。かつ複数の年金番号のどの番号が基礎年金番号かの確認を行い、年金手帳に必要な表示をしてもらう。近年、マイナンバーの影に隠れがちな基礎年金番号だが、その人の生涯の年金額を決定する重要な番号だ。おろそかにはできない。被保険者の年金記録を守るのは我われ社労士の役割。顧客から売上げをいただくが、買い手にもプラスアルファのサービスを提供すべきだ。
もう一つ、当事務所の特徴は、他者があまりやりたがらない業務を展開している点だ。
社会保険・労働保険の審査請求・再審査請求は社会保険労務士の社会貢献活動の一環と考えている。書面の作成・陳述などは有料だが、相談および行政機関への対応などは原則無料で実施している。依頼を受ければ、綿密な調査や資料の探し出し、本文の作成など、かなりの時間を要するが、これも社会保険労務士の使命と思えば苦にならない。
現在、当事務所の顧問料以外の売上げで主力となっている「商品」は、助成金申請と労働者派遣事業の許可申請などだ。中でも労働者派遣事業許可申請などは重要な改正も多く、高い専門的知識が要求され常に研究が強いられるが、当地区でこの分野に進出している社労士事務所は少なく、同業者からの問合せも含め、新規顧客からの引合いが強い業務として当事務所の主力商品となっている。
今後もこの2本の業務を展開していく意欲に変わりはなく、ますます磨きをかけたいと考えている。
社会保険労務士 大澤事務所 所長 大澤 朝子【埼玉】
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