【主張】紹介システム刷新に期待
本紙報道によると、厚生労働省は、来年、ハローワークにおける職業紹介システムを全面刷新し、求人・求職者双方の利便性を高めるという。マイページ開設や求職者検索が可能になるというが、インターネットが普及しすでに20年ほどが経過しており、遅過ぎの感は否めない。
ハローワーク利用者の満足度は高いレベルにあるが、オンライン処理できない求人手続きに手間がかかるのは事実である。業務コスト削減より利用者の利便性を優先したシステムとし、できる限り早くミスマッチ解消と人手不足緩和につなげてもらいたい。
平成30年度に厚労省が実施したハローワーク利用者満足度調査によると、求人企業の96%、求職者の97%が満足感を訴えている。満足感が極めて高いだけに、利便性の向上を目的とするIT化、オンライン化が遅れ気味となってしまったのだろう。マイページの開設や検索機能の活用などは、平成時代のうちには整備しておくべきだった。
システム運用後は、自宅や企業のパソコンを通じて、検索やリクエストが可能になるという。その都度ハローワークへ出向く必要がなくなれば、常に人手不足状態にある中小企業にとって求人に関わる労力、コストが削減できる。取組みが遅れ気味とはいえ歓迎されよう。
さらに、同時期に利用が開始される予定の職業情報提供サイト「日本版O―NET」にも期待したい。全職業を「ジョブ」「タスク」「スキル」などの観点から分析し、労働市場における「共通語」「共通基準」としてデータベース化するもので、今年度中に構築を終えて、2020年度には利用を開始する見込みとなっている。
厚労省では、オンラインを基本とする新たな職業紹介システムと「日本版O―NET」を連携させる意向を表明している。そうなれば、転職希望者は職業情報データベースから具体的な求人企業を検索したり、蓄積してきた自己のスキルを的確に把握してPRポイントとして掲載できるようになる。現代に適した労働市場インフラがようやく整うことになる。