雇用関係助成金を追求/労務管理事務所 新労社 代表 深石 圭介
開業して15年である。前職から一貫して雇用関係の助成金を申請し、また情報を得て、セミナーを行い、執筆なども行っている。社労士になったのは“なりゆき上”という感じで、今は死ぬまで助成金と付き合っていこうという気である。
社労士業界では助成金は嫌われる。成功する社労士のほとんどが、助成金を跳躍台として発展し、本質的な人事労務の精髄に向かって卒業する。助成金は実務として面倒くさく、効率が悪く手間がかかり、コロコロ変わり、また、必ずしも会社のためにならないこともあるからである。当局の実力者でさえ嫌っているという話もあるくらい。日本人のおカネで簡単に転ばない国民性もあるのかもしれない。
ただ、私の場合は“人類”に発展せず、木の上にとどまったサルである。なぜか?
書籍などを出させていただき、仕事が面白いというのもある。就業規則や人事制度など、多くの人事労務の仕事は答えがすぐには出ない仕事が多いが、助成金は出る出ないで、はっきりと結果が出る。そこに向かって進むのはクライアントに対しても分かりやすく、また達成感もある。
それ以上に、助成金というのは国の政策の在り方だ。私は歴史好きで、命続く限り日本や、世界の歴史を追おうという志がある。ただ歴史の書は数あれど、助成金をまとめた書籍や記録というのはない。その民間なりの記録を死ぬまでに作りたいものだ、と思っている。
といって別に「助成金絶対信者」ということでもない。助成金以外の労務管理もやり、足を洗おうかと揺らいだこともある。「助成金なんかダメだ」「助成金なんかなくなってしまえ」といわれても別に反感は抱かない。私の考える助成金はあくまでも歴史の一部で、文化史、政治史、鉄道史などとあるように、日本という限られた国の政策の何万分の一の切り口にすぎない。なくなっても別に何か探して生きられる、という健全な虚無感はあるつもりだ。
別に社労士のために用意したわけでもない、この「雇用関係助成金」を長年追求しようという奇特な方は、業界にはあまり多くない。それも助成金を続けている理由。近年は助成金をやる人がとくに少なくなっている。やる人が少ないと政策効果なしと、助成金は廃止になってしまう。せっかくあるのだから、社労士の独占業務なのだから使おう、なるべく取り組む人が増えるように、社労士本来の会社のための制度作りなどに、助成金をどう引っ掛けるか、というアプローチから、私は現在先生方に語り掛けているところである。
労務管理事務所 新労社 代表 深石 圭介【東京】
【公式webサイトはこちら】
http://nlsroumu.com/jj/