【主張】効果あった雇用安定措置
厚生労働省は、労働者派遣法の見直しに向けた議論をスタートさせたという(本紙12月9日号1面に詳細)。そのなかで、現行派遣法に基づく「雇用安定措置」が成果を収めていることが分かり、派遣元の取組み姿勢を高く評価したい。
厚生労働省の集計によると、平成29年度に同措置の対象となった派遣労働者が125万人を超え、派遣先に雇用されたり、新たな派遣先が提供されたという。派遣労働者の不安定雇用の改善、就労条件向上に少なからず貢献している。日本経済全体にとってもプラスとなろう。
一方で、日雇派遣の原則禁止には見直しの余地がある。とくに、「年収500万円」要件は評判が悪い。家計補助のため、日雇派遣を望む労働者が少なくないといえるが、この年収要件が心理的なブレーキとなっているのが実態である。今回の制度見直しで、ニーズに即した使いやすい日雇派遣とすべきである。
現行派遣法によると、派遣元は同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある者に対し、派遣終了後の雇用を継続させる「雇用安定措置」を講じる義務がある。派遣期間が1年以上3年未満の見込みの者に対しては努力義務となっている。
29年度の実績では、努力義務も含めた同措置の対象派遣労働者は125万人超に及んだ。「第1号措置」の派遣先への直接雇用の依頼が約7万2000人(6%)で、そのうち実際に派遣先で直接雇用となった者が約3割、2万1000人に。「第2号措置」の新たな派遣先の提供(同一派遣元での無期雇用を含む)が約48万3000人、「第3号措置」の派遣元での派遣労働者以外の労働者として無期雇用が約1万人となった。
現行派遣法に基づいた取組みとはいえ、派遣元の前向きな姿勢・努力が感じ取れる。派遣労働者の不安定雇用の改善と就労条件の向上に貢献していよう。
一方、日雇派遣の原則禁止に関しては、所得証明書を派遣元に提出することに抵抗感を持っている者が多く、労使双方のニーズに十分応えられていない面がある。