性格応用心理学の活用/半田朱美社会保険労務士事務所 半田 朱美
私は、山形県で社会保険労務士の業務を行っている。5年ほど前から、性格応用心理学(エニアグラム)を使った相談・コンサルティングを行っており、本稿では、従業員のトラブル解決に非常に効果的だった事例を紹介したい。
クライアントに、飲食店を2軒、経営している事業主がいる。2018年に相談を受け、その内容は、従業員から「業務の手が足りないので、スタッフを増やして欲しい」との要望があり、また経営的にも財務が苦しいとのことだった。
従業員は社員10人、パート11人で、月の給与総額は222万円であった。売上げは年間6400万円で、人件費が全体の41%を占めていた。
飲食店における、適切な人件費の割合は30%である。適切な数字を11%も上回っていながら、現場からは「人が足りない、人を増やして欲しい」との要望があり、毎月1人は辞めていく職場であった。
そこで、全従業員の情報を提供してもらい、全員の顔写真と文字の特徴から、従業員の性格タイプを判別した。
エニアグラムによる性格タイプの種類は9タイプである。診断の結果、従業員のほぼ半数がスナフキンタイプ(タイプ4)であることが分かった。
スナフキンタイプの特徴は、一般的に組織のルールや社会常識を軽視すること。社長からは、スナフキンタイプである各従業員の仕事ぶりをヒアリングした。
その結果、スナフキンタイプの多くは、料理の味が明らかに変でも平気な顔をしている、女性の場合、髪をヘアピンで留めるようにいっても指示に従わない、調理士がメニューの写真と異なる料理を、勝手に出すなど、ルールを守らない現場であることが分かった。
そこで私は、就業規則と人事考課の表を作成するとともに、接客、調理のマニュアルを作った。恰好や服装についても、基準を設け、またマネジャーには、管理職研修を行った。
その結果、ルールや常識を嫌うスナフキンタイプが居づらくなり、次々に自主退職を始めた。
結果として、従業員数は計21人から16人に減り、人件費は222万円から131万円になり、35%の経費削減ができ、退職者はゼロになった。トラブルなく、人件費の削減が、苦なく、自動的にできた。
このように、エニアグラムという性格応用心理学を活用した従業員トラブル改善のコンサルティングをすることで、従業員の問題解決が非常にスムーズに実現できる。
半田朱美社会保険労務士事務所 半田 朱美【山形】
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