法令遵守重視した体制へ/三好社会保険労務士事務所 三好 孝治
働き方改革関連法の施行に伴い、会社の労務コンプライアンスがこれまで以上に重要視されている。また、企業によっては人手不足に対応するために、認定制度などを活用しながら、社内労務管理体制をコンプライアンス面から再整備するところもある。
長時間労働や残業代未払い、ハラスメントの問題などは、労使間の信頼関係を損ねるだけでなく、場合によっては行政処分や長期化する対応のなかで職場の雰囲気が悪くなり、離職率に影響することもある。そうならないためにも、自社の働き方改革の一環として、労務コンプライアンスを重視した労務管理体制の整備が求められている。
その手法として、労働条件審査や労務監査を実施すれば、問題点を整理しながら改善・解決策を検討し、取り組むべき順序や相互の関連性を把握しながら、計画・実行に移すことができる。また、その過程で現状の業務内容を再確認し、業務改善にも取り組むことで、リスクの回避や生産性の向上へと結び付く機会になるのではないだろうか。
昨今では、行政の委託事業や元請責任体制の整備の観点からも、認定制度の活用や任意のチェックリスト・実態調査による確認により、関連の企業を含めたリスク管理と安定的な事業運営につながる取組みも行われている。
たとえば、規則の監査では、就業規則の内容に違法性はないか、労働関係諸法令の改正に対応するためには先行した検討が必要ではないか、慣習で実施したままの状態で規定漏れや不整合箇所はないか、などを確認する。
さらに、実態確認により日々の時間管理に問題はないか、従業員の雇入れや労働条件の変更時に諸手続きを行っているか、福利厚生や安全衛生の管理は怠っていないかを確認する。結果を受けて、業務内容を精査し、社内全体の取組みへと発展することができればより効果的である。
労務管理に関する問題点やそれによって生じるリスクを洗い出すためには、労働関係諸法令の専門的知識が必要となる。その専門家である社会保険労務士として、私が所属する広島県社会保険労務士会でも、労務コンプライアンス体制の支援を行う業務や周知活動を実施しており「人を大切にする企業」づくりに貢献できるように取り組んでいる。
開業してから10年が経過し、昨年度は社会保険労務士制度50周年の節目を迎えることができた。その時代を生きる専門家として、スローガンにもあった「その先へ」つなげていけるよう、魅力ある企業づくりを支援し続けたい。
三好社会保険労務士事務所 三好 孝治【広島】
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