【今週の労務書】『労基署 調査・指導・是正勧告対応の現場―監督官から呼出がきた!』
2012.06.25
【書評】
経営リスクの回避を
「賃金・労働時間等の実態調査を行いますので、実務担当者の方がご来署くださるようお願いします」――こんな通知が労働基準監督署から届いたときの対応法を教える本書は、「かなり経営者寄りの内容」と著者自ら述べるほど、経営上のリスクテイクに主眼を置いている。
来署通知自体の「読み方」に始まり、労基署訪問前に行うべき準備や監督官との面談法など、メモの取り方や服装に至るまでを含め、監督官の心象形成作業がいかに重要かを解説。印象の善し悪しが是正勧告の内容にも影響を及ぼすケースがあるからで、この面談までが勝負とも。
不当解雇や賃金カットなど、トラブルの現場を描いたケーススタディー部分も参考になる。毒々しい表現も多いが、行政とのやりとりがよく分かる。
(吉本俊樹 著、日本法令 刊、TEL:03-3249-7182、本体2200円+税)
平成24年6月25日第2878号16面 掲載