【今週の労務書】『残業(シリーズ働く人を守る)』
2012.08.06
【書評】
休ませる義務自覚を
シリーズ3冊目となる本書では、「残業」問題を真正面から取り上げた。「休む権利」と「休ませる義務」の自覚を労使双方に改めて促す内容で、残業に関わる法規制を整理し直し、国の関連通達や判例の解釈などをまさに「残業」一点に絞って分かりやすく解説している。
労働弁護士として有名な著者だけに、いかに残業しないで豊かな人生を送るかという視点が全編を通じて貫かれ、経営の観点からすればやや眉をひそめたくなるくだりも。だが、ワーク・ライフ・バランスの追求から目を背ける状況にない今、あえて左寄りの見方を参考に自社の在り様を考えるのもありか。
過労死や自殺の背景に長時間労働があることにはもはや疑いの余地はなく、本書を手に時間管理の点検を急ぎたい。
(鴨田哲郎 著、中央経済社 刊、TEL:03-3293-3381、本体2400円+税)
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平成24年8月6日第2883号16面 掲載