【今週の労務書】『実践・新しい雇用社会と法』
2020.01.18
【書評】
最先端な課題にも対応
研究者など計14人が、雇用契約の締結から終了に至るまでのなかで実際に生じ得る問題について、主に判例を整理しつつ、実務上の留意点を示したのが本書。雇用社会の現場で、合理的で適切な問題解決の拠りどころとなる一冊といえる。
目次をみて、抱えている課題の解決につながりそうな内容を探しやすい構成となっている。たとえばGPSを用いた労働者管理の適法性といった近年問題になり得る具体的な話題にも触れており、就業規則など業務命令の根拠となる規定が必要とした。
東京大学の菅野和夫名誉教授など計3人が、働き方改革の評価や今後の展望を述べている巻末の鼎談も注目度が高い。働き方改革実現に向け、労使の話合いを通じて職場に合った方式を生み出すことの重要性などを訴えた。
(野川忍、水町勇一郎編、有斐閣刊、TEL:03-3265-6811、3100円+税)
令和2年1月20日第3241号16面 掲載