【ひのみやぐら】墜落防止は作業床設置が肝
建設業の3大災害といえば、「墜落・転落災害」「建設機械・クレーン等災害」「倒壊・崩壊災害」。とくに「墜落・転落災害」は型別で全体のおよそ4割を占め、安全対策上の最重要課題となっている。
安衛則518条では「事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない」と定められているが、ここで誤りやすいのは高所作業で安全帯を使用させていれば、安全が確保されているという考えだ。
建設業で墜落災害を防止するためにまず、必要なのは「計画段階でいかに高所作業をなくすか」に尽きる。落ちる場所がなければ、災害が起こらないのは自明の理だ。安全施工計画を早期に作成、協力会社へ安全作業手順を十分指導し、順守を求めることで、災害発生確率を大幅に下げることができる。計画段階で危険領域をできるだけ少なくすることが重要といえよう。次いで、求められるのが、作業床を設置することだ。さらに作業床の端部、開口部に囲い、手すり、覆いなどを設けることとなる。安全帯の使用は、これらの設置が困難な場合に限って、防網、親綱を張ったうえでの措置だ。
ただ、現実的な問題として建設現場で、高所作業を行わないということはほぼないだろう。つまり墜落災害防止では、安全な作業床などの設置が肝になる。高所作業では「足場、手すり」が基本的な安全対策といえよう。このような設備は、職長会を中心に現場で働く皆が、維持・管理を適正に行う必要がある。もう一ついえば、作業所全体で災害防止を徹底していこうとする雰囲気づくりが重要になる。
なお、2m未満の高さでも墜落災害は発生している。決して低くても油断することなく、可能な限りの対策を図りたい。