【今週の労務書】『「途上国」進出の処方箋 医療、メンタルヘルス・感染症対策』
2020.02.15
【書評】
実情から学ぶ駐在リスク
“最後のフロンティア”といわれてきたミャンマーに焦点を当て、海外駐在員が直面する現実を伝え、派遣する企業側に医療・メンタルヘルス面での配慮を促す。専門家の立場から警戒すべき疾病とその予防・対処法が解説されるほか、うつ病発症に至った実事例なども紹介する。一方では現地の駐在員から継続的に収集したアンケートの内容が生々しく、国内の本社からはみえない実情がうかがい知れる。
著者は元外務省の医務官で、スーダン、フランス、セネガル、中国の大使館に赴任した経歴を持つ。その後大学に籍を移して取り組んだのがミャンマーの調査研究で、本書では2012年以降の約8年間の変遷が報告される。海外企業の進出を受けてインフラの整備が進み、邦人の数が増えていく発展過程のレポートとしても、興味深い。
(勝田吉彰著、経団連出版刊、TEL:03-6741-0045、1800円+税)
令和2年2月17日第3245号16面 掲載