【今週の労務書】『労働法実務 労働者側の実践知』

2020.02.29 【書評】
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訴訟の「駆引き」を紹介

 労働者側に立ち第一線で活躍する弁護士が、訴訟の実務を解説した。相手を知るという点で、使用者側が読んでも参考になる。定期的に「実践知」という囲みで要約を挟んでおり、理解しやすい構成となっている。

 訴訟の受任から判決言渡しまでの一連について、筆者の体験に基づいた各段階ごとのポイントを説明した。いかに裁判官の心証を傾けるかという点を重視し、たとえばコミュニケーショントラブルで解雇された事案では、被告が上司を罵った点を主張するも原告に覆せる録音証拠がある場合、最初から出さず、被告が「ウソ」の主張をしてきたのを見計らい提出するなどのテクニックも余すことなく記載している。

 解雇やハラスメントなど計12の具体的な事件ごとの対応方法も示した。小さな項目ごとに判例を整理していて、参考となる事件を探しやすい。

(君和田伸二著、有斐閣刊、TEL:03-3265-6811、3800円+税)

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令和2年3月2日第3247号16面 掲載
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