パラダイムシフトのとき/社会保険労務士事務所 S&U労働コンサルティング 代表 上村 俊一
皆様はパラダイムという言葉をご存知だろうか。
パラダイムとは、その時代・社会において共通の大前提となっている常識、思考枠組み、基準、方法論のことである。そして、パラダイムシフト(パラダイムの転換)が起こると、それまでの常識、前提条件が変わり、新たな方法論が求められる。
まさしく、社会保険労務士はパラダイムシフトのときを迎えているのではないだろうか。
今や、罰則付きで時間外労働の上限が設けられ、年次有給休暇の時季指定が使用者に求められる時代となった。さらに、パワーハラスメントが法律事項となり、企業には70歳までの就業機会の確保が求められようとしている。
働き方の大改革が推進され、これまでの労務管理の常識が通用しない時代に入っている。社会保険労務士は、波状的な法改正への的確な対応が求められ続ける。
さらに、IT・AIに導かれる時代の変革への対応も求められる。
社会保険労務士に影響する事象の具体像はつかみ難いが、まず思い浮かぶのは、①デジタル・ガバメントの推進による手続きのデジタル化の拡大、②勤怠管理に係るソフト開発などによる労務管理のシステム化の拡大、デジタル・ガバメントとの連動の加速、③テレワーク、在宅勤務など働き方の多様性の加速、④労働紛争・労務管理の事例分析の蓄積と提供のシステム化、⑤個人情報などの情報セキュリティの重要性の増大、⑥デジタル・プラットフォームの拡大――などである。この先、どのようなアイデアが生み出されるのか想像もつかない。
もう1つ、大きな変革は外国人労働者の増大である。
外国人労働者が例外的・特殊なものではなく、外国人と共生して働くことが常識となる近未来が想定される。そこでは、人権への理解、優秀な人材確保のために「世界の労働市場の中の日本」という観点も必要になる。
自ら新技術を使いこなし、法制度に関する最新知識を基礎として、外国人労働者も含めて、新技術を活用した労務管理手法を提案できる、これが新時代における社会保険労務士の理想像ではないか。
さて、かくいう私は2年前に公務員から社会保険労務士へ転身した。私にとっての大きなパラダイムシフトである。企業と労働者の双方から信頼と共感を得て、「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上」という大いなる使命のため、覚悟と情熱をもって臨みたいと考えている。
社会保険労務士事務所 S&U労働コンサルティング 代表 上村 俊一【千葉】
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