東日本大震災 想定を越えた自然の力/伊藤 和明【よく読まれた記事】
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【国土を脅かす地震と噴火】3 東日本大震災 想定を越えた自然の力/伊藤 和明
2011年3月11日、東日本大震災を招いた「東北地方太平洋沖地震」は、M9.0と、日本で近代的な地震観測が始まってからは、最大規模の超巨大地震であった。地震発生とともに、想像を絶するほどの大津波が沿岸各地を襲い、壊滅的な災害をもたらしたのである。
この超巨大地震は、従来想定されていた6つの震源域が、次々と連動して断層破壊を起こしたもので、破壊された断層の面積は、南北約500キロ、東西約200キロに及んでいる。
津波の波高は、高い所では10~15メートルに達した。また、岩手県宮古市の重茂姉吉地区では、40.4メートルという観測史上最大の遡上高を記録している。
総務省消防庁によれば、17年9月8日時点で、死者1万9575人、行方不明者2577人となっている。犠牲者の90%以上が、津波による水死であった。
三陸沿岸の各地には、津波に備えるための堤防が整備されていたが、それらのほとんどが破壊されてしまった。釜石市では、水深63メートルから立ち上げた防波堤が町を守っていたが、津波によって押し倒されてしまった。大船渡市では、1960年のチリ地震津波災害を受けて築造された湾口防波堤も破壊された。
宮古市田老地区では、日本一ともいわれていた二重の防潮堤(高さ10メートル、総延長2.4キロ)を、津波はやすやすと乗り越えて町を洗い、180人余りの犠牲者が出た。防潮堤に信頼を寄せていたために、逃げ遅れた住民も少なくない。
津波の襲来とともに…
筆者:NPO法人防災情報機構 会長 元NHK解説委員 伊藤 和明