【今週の労務書】『賃上げ立国論』

2020.03.21 【書評】
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2%増と70歳現役めざす

 日本の賃金は、今や主要先進国より1~4割低い――。冒頭からそう指摘する著者は、企業の成長にとっても賃上げが必要だと強調する。雇用を維持して事業再編を先延ばしがちなわが国では、賃上げはむしろ生産性向上を促す面を持ち、事業構造改革を進めるうえで重要になるという。

 タイトルどおり本書のテーマは政策提言にあり、日本再生ビジョンとして独自の「生涯賃金3割増プラン」を示す。10年かけて70歳現役・持続的な賃上げ2%をめざすうえで、企業横断的なキャリア形成支援の仕組み、賃上げを誘導する第三者機関の設置などを求める。企業がとるべき方策も掘り下げており、付加価値生産性を引き上げるためには、日本型正社員=職種無限定・高技能タイプを減らし、職種限定・高技能タイプの比率を高めるべきなどと説いている。

(山田久著、日本経済新聞出版社刊、TEL:03-3270-0251、1800円+税)

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令和2年3月23日第3250号16面 掲載
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