【主張】雇用情勢が堰を切る恐れ
新型コロナウイルスの感染拡大防止にとって重要な時期を迎えている。政府主導の下、国民、労使がともに感染拡大を防がなければならない。一部勢力や大手マスコミ報道が、政府の一連の感染防止対策の細部に立ち入ったり、過去のスキャンダルを蒸し返して批判キャンペーンを行っている状況には閉口せざるを得ない。感染防止が後手に回っている面は否定し難いが、政府の決断にブレーキを掛けるのではなく、一丸となって後押しすべきである。
新型コロナウイルスの感染拡大は、「国難」レベルとなっている。直前に発表となったGDP(国内総生産)の大幅ダウンは、東日本大震災直後の下落幅を超えていた。感染拡大に伴う経済破壊が加われば、国民にとって途方もない損失となり得る。このままだと、唯一の防波堤となっていた雇用情勢がなだれを打って崩壊しかねない。
感染防止の的確な実施と効果的な大規模経済対策の早期執行に向け、政府を動かさなければならないときである。重箱の隅を突くような後ろ向きのキャンペーンは、何の意味も持たない。
たとえば、学校の一斉休業要請もリスクを採った英断だった。大手マスコミは保護者の不満ばかりを大々的に取り上げたが、どこを向いて報道しているのか理解できない。
労使は、一部勢力、報道に惑わされることなく、政府の方針に沿って地道な感染防止対策を実行していくほかない。参考となるのが、厚生労働省が作成している「Q&A」である。一般者向け、医療機関・検査機関向けのほか、企業(労務)の担当者向け、労働者向けの各種感染防止対策を分かりやすく示し、随時更新してきている。
救済対策として、雇用調整助成金や時間外労働等改善助成金で特例支給を行うとともに、学校が臨時休業した場合の保護者の休暇取得支援制度を設けた。国民の要望に応えた、きめ細かな対応がなされていよう。
しかし、「国難」の克服にとっては、あまりにも視野が狭い。財政規律を一旦棚上げして、機動的で強力な財政出動が不可欠である。