危機管理問われる時代に/豊田社会保険労務士事務所 豊田 亘
今年2月で、開業して10年目に入った。振り返ればあっという間に過ぎてしまった気がする。
開業するまでは食品素材メーカーでの経理部門や人事部門で経験を積むことができた。
そのなかで、転籍出向や在籍出向中に商社やサービス業といった異業種の経験も積めたほか、社会保険労務士の資格取得の際に会社が応援をしてくれることもありがたかった。
「危機管理」の観点から振り返れば、開業した年には東日本大震災が発生した。当事務所のある地域も、東南海地震などの発生に備えての対応策についてよく考えたりもした。
当然、優先させるべきことは「安全」である。こういったリスクが多くあるなかで、社会保険労務士としてできることはなんだろうか。
現在は新型コロナウイルスの感染が拡大しているが、以前にもSARS、MARS、新型インフルエンザなど目にみえないものからの脅威があり、労働者の安全という観点においても労務管理が重要視されるのではないだろうか。
現在では海外との取引も多様化しており、進出している企業も数えられないほど多くなっている。
その点でみると、海外へ派遣する際、また帰国した際の日本での職場復帰のルール化も、出張先に応じた対応が迫られる。
ある対応では帰国後、産業医での診断を受け、その後4日間は出社させず自宅待機をさせていたことを思い出す。そこには産業医の診断も踏まえた一定のルール化を行っていた。今後はこのような対応も必要ではないかと考える。
世界規模で感染が広がっている新型コロナウイルスについては、どのように対応するかは不明な点は多いが、労働者の安全衛生について制度化を図る際に、社会保険労務士は重要な役割の一つを担えるのではないかと考える。
現在は申請手続きにおいて電子申請が行えるようになっているため、十分に活用を行えば不要不急の外出も避けられるのではないかと考えられる。
開業してから間もない頃、海外出張されている経営者との間でネットを使った会議を行った。
また、別の企業においては、通勤時間が無駄になることを考え在宅勤務制度を検討した。
今はお客様のところへ訪問をしているが、テレビ会議などの利用で訪問形態も大きく変化してくる可能性がある。
社会保険労務士の業務についての「働き方」も、大きな転換期を迎えるかもしれない。
豊田社会保険労務士事務所 豊田 亘【三重】
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