【ひのみやぐら】アイデアを上手に引き出す

2020.04.10 【ひのみやぐら】
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 「従業員の頭の中には、よいアイデアが眠っている。会社の制度とすることで、アイデアを外に出しやすくした」――日通商事ロジスティクス・サポート事業部の取材で品質管理部、岡克彦担当部長の言葉が印象に残った。

 改善活動は、従業員のモチベーションが非常に重要といえる。多少の強制はあっていいかもしれないが、「やらされている」という意識の下で、安全衛生活動を含めた職場改善が上手くいくことはない。仮に、安全担当者が従業員に対し改善提案を求めたとする。安全対策の評価というのは難しい。だからといって回答に長く時間をかけてしまい、結果として無関心と思われてしまったら、やる気が上がるわけがない。従業員には、「やらされ感」だけが残ることになる。

 提案に対しては、あまり時間をおかずに適正にフィードバックする。たとえ、具体的な改善策として実現することがなかったとしても、きちんと対応すれば、従業員がやる気を失うことはないだろう。反応を示すことが、何よりも重要ではなかろうか。

 一方、自分の提案が採用されたならば当然、満足感が高まる。モチベーションの高まりは、さらに次の提案を提出しようとする動機付けになる。改善提案は件数が上がれば良いというものではないが、職場の取組み意欲が高まっている証左なのは間違いない。自分のアイデアが上司、同僚に認められ、職場の安全や作業改善に貢献していることが実感できれば、モチベーションはおのずと高まるものだろう。

 従業員の意識を高めるため、表彰制度を導入している事業場は少なくない。なかには、賞品や賞金を出すところもある。インセンティブを高めるための表彰制度を批判するつもりは毛頭ないが、従業員のやる気や満足度を引き出すのは、「目の前にぶら下がっているニンジン」よりも、「やりがい」や「誇り」を刺激するほうが、効果的と信じる。

 従業員の頭の中には、アイデアが蓄積されている。ただ、言い出すきっかけがないのである。従業員のやる気を引き出す制度や文化づくりは、安全担当者の〝ウデ〟にかかっている。

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2020年4月15日第2352号 掲載
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